当課題に関しては、平成15年度4月ではなく11月5日付で科学研究費補助金が交付されたため、予定していた研究計画に比べると出だしが大幅に遅れてしまってはいるが、15年度は以下のことを行った。本研究は母語が日本語習得に与える影響(すなわち母語転移)を中心に機能言語学の枠組みで調査するというものであるが、韓国語・英語を母語とする学習者(中下級、中上級、上級の3レベル)を考察対象とすることにした。タスクとしては絵と無声映画という二種類の媒体を使うことにした。研究実施に先立って平成15年度11月に、機能言語学を中心に幅広く研究されているジョージタウン大学言語学研究科のタイラー教授、母語転移の研究で世界的に著名なオハイオ州立大学のテレンス・オドリン教授、第二言語研究における統計分析に詳しいジョージタウン大学のチェン教授より指導を受けた。データ収集法、データ分析法などについて話し合い、また関連研究書を講読した上で具体的なリサーチデザインを仕上げるに至った。タイ、スラナレー大学のサンガンジャンヴァニッシュ・ジンダポーン教授が、以前絵を利用し優れたデータ収集・分析を行っていたので、12月にタイにて、分析法を中心に研究手法について意見交換を行った。アメリカで11月にパイロットデータを収集し、文字起こし・コード化を経て結果を分析した。現在は、本データを収集中の段階にある。16年度は本データ収集を出来るだけ早く終わらせ、文字起こし・コード化・分析を行い、タスク・学習者の母語が第二言語産出にどのような影響を及ぼすかを考察し、研究会・学会等で研究成果を発表する予定である。
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