平成15年度は、科学研究費補助金の交付を受けた同月、11月に先行研究調査を始め、データ収集法、データ分析法などについての打ち合わせを海外の研究者と行った。その後アメリカでパイロットデータを収集し、その結果に基づき本データの収集、文字起こし、SOPIレーター2名による学習者能力レベル判定、コード化、結果分析の一部が完了した。当初は中下級・中上級・上級の3レベルを考察対象にしていたが、使用したタスクの1つが中下級の学習者の日本語能力に適したものではなかった為、韓国語・英語を母語とする日本語中級・上級レベルの学習者を対象にデータの取り直しを行った。また、それと並行し、本研究のメインテーマである「母語転移」を教室内での「母語使用」という形で考察し、その成果を平成16年度にサンフランシスコで開催されたInternational Conference on Practical linguistics of Japaneseという学会で口頭発表した。その論文がくろしお出版社から平成17年に出版予定の『言語学と日本語教育IV』に掲載されることとなった。平成17年1月には、「第二言語習得における母語転移」というテーマで国際シンポジウムを主催し、日本・欧米の研究者4名に発表いただいた。また3月に同テーマで国際シンポジウムの第二弾を開催予定であるが、そこでは海外から研究者を2名招聘してもらうことになっており、また科学研究費補助金を受けて行った本研究の成果も発表予定である。1月、3月のシンポジウムで口頭発表された論文を取りまとめ、平成17年度中に図書として出版したいと考えている。
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