研究概要 |
1.初級から中級へ向けての日本語文法「振り返り」教育についての研究 初級文法を終了したとしても、それが完全に身に付いたと言える学習者は多くない。その状態で中級の段階に進むことは学習者にも教師にも大きな負担となっている。初級と中級を結ぶ「橋渡し」教育の重要性がこの数年、叫ばれているが、どのような文法項目を改めて学び直すべきかという点についての調査はまだ遅れている。初級を「振り返り」、中級へ進む前に復習をすべき文法項目にはどのようなものがあるかを考察するための材料として、学習者と教師にアンケート調査を行うことを提案し、その方法論をまとめた。 2.中級日本語作文教材についての研究 将来日本語で論文を書く必要のある留学生に対する中級レベルの作文指導を再検討した。学習者の抱える問題点を取り出すとともに、従来の日本語作文教材に欠けている視点と情報がどのようなものであるかを考察し、それを補う教材づくりに向けて、いくつかのモデルを提示した。 3.上級レベルの待遇表現についての研究 現行の日本語教材における敬語のシラバスを分析し,学習者による敬語使用の実態を調査(映像)データにもとづいて明らかにした。これらの分析結果にもとづき,学習者の視点に立った敬語のシラバス構築のために必要な要素を提示した。本年度の研究の成果は以下の2点にまとめられる。 1)これまで,別個に考えられることが多かった敬語使用の実態とシラバス構築を複合的に考察した。 2)学習者が敬語使用をどう使用し,どう評価しているかを明らかにした。 4.地域言語を取り入れた中級日本語作文教材についての研究 外国籍児童生徒の教育においても地域で話される言語は学校教育において重要な意味をもつ。一方で、特に外国籍児童生徒のために有効な地域言語教材は皆無といってよい状況であり、本研究では、このような教材作成を視野に入れた基礎的研究を中心におこなった。
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