研究課題/領域番号 |
15520336
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
倉地 暁美 広島大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (00197922)
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研究分担者 |
大浜 るい子 広島大学, 大学院・教育学研究科, 助教授 (20122591)
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キーワード | カルチャー・ステレオタイプ / 日本語教師 / ボランティア / 異文化間トレランス / 半構造的インタビュー / エスノグラフィック・インタビュー / 質問紙調査 / 多文化共生の教育 |
研究概要 |
異文化間の対人相互理解を困難に導く原因として、カルチャー・ステレオタイプと異文化に対するイントレランスを見逃すことはできない。特に教育現場において、教師やボランティアの持つステレオタイプの影響によって、学習者のカルチャー・ステレオタイプが確固たるものに強化され、異文化に対する偏見が一層助長することも少なくない。 そこで本研究では異文化学習者の教育に携わる日本語学習支援者(教師、ボランティア)のカルチャー・ステレオタイプの逓減に対する認識や、アウェアネスの有無が、どのような諸要因によって決定づけられるのか、またカルチャー・ステレオタイプに対するアウェアネスの有無と異文化間トレランスはどのように関わるのかを解明すべく、(1)前年度に実施した質問紙調査のデータに対して新たな分析を加えると共に、(2)質問紙調査に協力した調査対象者の中からカルチャー・ステレオタイプに対する認識の低い者と高い者を抽出し、前者に対しては半構造的インタビューを、後者に対してはエスノグラフィック・インタビューを実施することにした。 その結果、(1)質問紙調査において具体的なカルチャー・ステレオタイプの記述が少ない対象者ほど、ステレオタイプの危険性、問題性をしっかりと認識し、日頃から意識的にステレオタイプ表出に対する自己抑制を心がけていること、(2)カルチャー・ステレオタイプの認識が低い対象者は、学部生と異文化接触が質的・量的に少ない教師に多く、認誠の高い対象者に学生(学部生・院生)は一人もいないことなどが明らかになった。現在、エスノグラフィック・インタビューを継続実施中であり、その結果を詳細に分析し、教師のカルチャー・ステレオタイプの逓減に何が必要か、ステレオタイプとトレランスはどのような関係にあるのかなどを解明し、外国人学習支援の円滑化や異文化接触の深化のための教育に具体的な提案を行うことが今後の課題である。
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