研究概要 |
1.昨年から継続して,共通語としての終助詞の音調を明らかにするため,東京,大阪,新潟において,終助詞の音調の聴き取り調査をおこなった。「桃だよ」「やるね」のように,一語句の文に終助詞をつけ,終助詞の部分を,順接あるいは低接の平坦,疑問上昇,アクセント上昇,下降,上昇下降などの音調で発話したものを聞いてもらい,各音声について,「「あれ,何?」と尋ねた相手に教えるとき」「「これは梅ではなくて桃だ」というつもりで言うとき」のように,設定された場面での発話としてふさわしいと思ったら○をつけてもらった。昨年の広島,岡山,香川での調査結果と比較したところ,新潟での結果の一部については,広島,岡山,香川での結果と異なる場合があった。その一方で,「よ」「ね」「な」「か」の音調について各地域で共通に選ばれるものが認められた。今後さらに調査地域を増やす予定であるが,全国に共通して理解される終助詞の音調と機能の対応が明らかになれば,日本語教育の現場で取り入れるべき内容として提案することができると考えられる。 以上については,第11回日本語教育学会関西研究集会(2005.3.5)で報告をおこなった。 2.日本語教育の現場で,終助詞の音調の教育をどう取り扱うべきかを探るため,日本語教師を対象にしたアンケートを作成し,配布・集計を始めた。これは,日本語音声教育における終助詞の音調の指導の位置付けを明らかにすることを目的とするものである。また,日本語教育教材で終助詞の音調がどのように取り入れられているかを調べ,今後日本語教育の指導内容として提案すべきものを考えるための基礎資料とした。
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