研究概要 |
初年度は,主として日本語,韓国語,中国語,タイ語,英語,ドイツ語,仏語における「危ない○○語」の語彙資料収集のための調査を国内および海外(韓国,台湾,香港,タイ,ドイツ,スイス)で実施した。日本語では約500人分,タイ語約100人分,中国語約200人分,韓国語約700人分のデータを収集,さらにパイロットデータとして,ドイツ語約50人分,フランス語約30人分のデータを収集した。さらに,日常的な使用状況と辞書の意味記述を比較するため,『罵詈雑言辞典』の中から1170語を採取しデータベース化を行った。 次年度は主に収集した各国語の語彙資料は、集計と定量分析のために整理し入力作業を行った。また、日本語のタブー表現辞典の文献から、「危ない日本語」の語彙を抽出し、データベース化し、理論的枠組みの構築と語彙分析方法の検討の参考資料を作成した。さらに対照言語学的視点、社会言語学的視点から、各国語のタブー表現等の「危ない○○語」の分析を行うための枠組みを検討し、基礎データベースの構築を行った。 収集したデータを考察した結果,意味の指示対象(denotation)により次の14の項目に分類整理した。データベースは,語彙の見出し語,その語彙により意味されるもの(connotation),被調査者の性別・年齢区分・出身国(地域)・出生地の情報を加えた設計した。 本研究を通して国や地域によって語彙の種類,示し方,状況,場面等,異なる傾向があることが見えてきた。また男女差や年齢差などの要因による相違点もあることが明らかになってきた。今回得られた各国語の語彙資料について分析,考察を行い,各国語の「危ない○○語」の特徴等を研究成果報告書にとりまとめた。今後は言語の個別的な記述研究をより深めながら,さらに詳細に社会言語学的な分析を行っていくこと,各言語の対照研究を進めていくことが課題である。
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