研究概要 |
今年度は,次の(1)(2)(3)の調査・研究を行った。 (1)非日本語母語話者の談話データの録音・文字化 (2)日本語母語話者の談話データの録音・文字化 (3)(1)(2)の比較に基づく非日本語母語話者のとりたて助詞の習得に関する研究 (1)については,非日本語母語話者と日本語母語話者の自然談話の会話(約10本)を平均30分程度MDに録音し,その文字化を行った。 (2)については,日本語母語話者どうしの自然談話の会話を(1)と同様収集し,その文字化を行った。 (3)は,(1)(2)の言語資料を比較することによって,非日本語母語話者の日本語習得を進めるような教育文法を構築しようとするものである。(1)(2)の言語資料の整理はまだ正確で統一されたものにはなっていないが,非日本語母語話者・日本語母語話者の主題・とりたて助詞のおおよその傾向を知ることができるようになりつつある。結果の一部は研究業績にまとめて刊行する予定である(中西,2004年発表予定,参照)。 以上の調査・研究から,非日本語母語話者・日本語母語話者の言語資料における主題・とりたて助詞の出現傾向には違いがあるらしいことがわかってきている。今後は,上記(1)(2)の言語資料の整理を完了させ,それに基づいて書きことばにはほとんど表れない話しことば特有の主題・とりたて助詞の特徴および,日本語母語話者・非日本語母語話者の主題・とりたての運用能力の比較対照を行っていくことにした。
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