研究課題/領域番号 |
15520340
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研究機関 | 聖心女子大学 |
研究代表者 |
小川 早百合 聖心女子大学, 文学部, 助教授 (20276653)
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研究分担者 |
菅原 健介 聖心女子大学, 文学部, 教授 (20196702)
佐々木 倫子 桜美林大学, 大学院, 教授 (80178665)
備前 徹 専修大学, 文学部, 助教授 (30208897)
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キーワード | 連想 / 刺激語 / 社会文化能力 / 意味ネットワーク / 語彙 / 円滑なコミュニケーション / 文化リテラシー / 日本語教育 |
研究概要 |
本研究は文化的側面から「語彙」の問題に注目し、日本語のことばの背景にある"常識"とその多様性の仕組を明らかにし、日本語教育に資することを目標としている。日本語母語話者の"常識"についての調査、日本語学習者がその"常識"をどう構築していくかを探る試みは限られている。そのための方法を模索しつつ、研究を進めている。 研究方法は語連想調査法を用いる。調査方法は、30の刺激語を日本語で提示し、筆記型で回答してもらう。また日本語連想に対する母語の影響を調べるため、刺激語を各母語に翻訳したものでも実施。調査対象者は、日本語母語話者(国内の大学生)、日本語学習者(米国、エジプト、イタリア、中国、台湾、韓国の現地大学生)。集計データは順次HPで公開している。URLは、http://www.asahi-net.or.jp/〜dr4t-ogw/sayuri/rensou/rensou.htm イタリア調査については「ことばの連想に見られるイタリア人日本語学習者の日本語語彙の特色」と題し、本年3月にイタリア日本語教育協会主催の学会で研究発表を行った。分析結果は、(1)日本固有の事象を示す語からは、イタリア人学習者は日本語母語話者と共通の連想を行う。その理由は、語彙学習で百科事典的意味も同時に提示されるためと思われる。(2)基本語彙(日常語など)からは、イタリア人学習者は日本語母語話者と異なる連想をする傾向が認められた。基本語彙は、訳語で簡単に理解できるように考えがちだが、逆に日常語には"常識"の違いがあることを学習者が気づくような工夫が必要である。(3)抽象概念(色など)の語彙からは、イタリア人学習者・日本語母語話者に共通傾向と相違傾向のそれぞれが認められた。共通傾向は、二言語併用者が言語スイッチに伴って思考を切り替えた結果生じたもの、相違傾向は(2)の傾向が保持されたものと考えられる。 これら連想傾向が各々どんな語彙に特徴的かについては、今後他言語の分析と総合しながら、明らかにする予定である。
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