研究概要 |
今年度は、米国プログラム評価学会のワークショップに参加してプログラム評価理論の理解を深める一方で、主にインターネットを使って、評価コンサルタントビジネスや自治体での政策評価に用いられている満足度の調査手法を検索した。その結果、満足度評価ではアンケート調査による直接的な質問が主流と見られるが、満足度と重要度を調査して、そこから改善へのニーズ情報をつかむ手法も日本でかなり定着していることがわかった。さらに、この手法については、発案者がまだ特定できていないが、ルーツは1980年代の米国での心理学研究にあることが少しわかってきた。また、欧米でのプログラム評価報告例から、主に社会プログラムなどで用いられているClient Satisfaction Questionnaire (Williams & Wilkins, 1995)のコピーを入手できた。これは、プログラムで提供されるサービスについての多面的な質問に対して、回答者が4段階でレイティングをするチェックリスト形式である。このチェックリストの質問項目の構成をもう少し検討すると、筆者が必要とする形の満足度評価に活用できると思われる。 一方、筆者が責任者をつとめる夏期集中日本語教育プログラムでの評価において、これまでのアンケート調査の質問に、先の自治体などで用いられている満足度と重要度を調査する手法での質問を加えてみた。その結果、確かに改善などのニーズは見えてくるが、この手法での質問だけでは信用性が低く、別の手法との組み合わせによるトライアンギュレーションが重要であることもわかってきた。 さらに、このテーマで扱う「満足度」そのものについて、それが回答者のどのような心理面あるいは認知面での反応なのかを考察することが必要であることも再認識させられた。次年度は、この点をもう少し掘り下げて検討する。
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