研究分担者 |
柳澤 好昭 独立行政法人国立国語研究所, 日本語教育部門, 領域長 (80249911)
朝日 祥之 独立行政法人国立国語研究所, 情報資料部門, 研究員 (50392543)
赤木 浩文 専修大学, 国際交流センター, 常勤嘱託
宮谷 敦美 岐阜大学, 留学生センター, 助手
|
研究概要 |
研究の目的 本研究は,外国人の日本定住志向が強まり「社会的統合」(就労進学の機会の保障)政策導入の必要が高まっているに当たって,判断材料となる資料を整備することを目的としている。これまで法律面での整備は既に完了しているが,教育政策の枠で「社会的統合」の観点から見た外国人子弟の行動様式や価値観についての実態調査や提言は,なされてこなかったことを鑑み,本研究では,教育政策として必要となる資料を,質問紙調査とテストを基に作成する。 研究の方法と結果 本研究では,まず,質問紙調査を用いて,主に東海地域に定住している158名の13歳から22歳までの定住ブラジル人子弟に対して調査を行った。そこでは,主に社会的統合の進行を示す指標として,重要な進路等の決定を誰が行うかといった意識面と,現実のコミュニティでどのような言語生活を行っているかの実態面との両面について調査が行われた。 アンケート結果からは,生活の実態としての統合が進んでいても,子弟には強い帰国の意思があることなど先行研究でも得られた結果も確認された。また,日本社会への理解も母文化への尊敬も同時に持ち合わせていることも示された。言語行動としては,日本の新聞・TVなどを情報を得る手段として活用しないことが分かった。 次に定住ブラジル人子弟の言語行動が日本人のそれと異なることに着目し,情報を得るための「読み」行動に着目してインターネットによるアンケートと読解テストを行った。また比較のため,大学入学年齢の日本人子弟に対しても同様の調査を行った。テスト結果については分析が進んでいる段階である。 波及効果 今回の調査の結果は,調査委託を行ったインターナショナル・プレス・ジャパン社などを通じて,ブラジル人社会に紹介する予定である。また,研究全体の結果は報告書として刊行する。調査結果全体は,今後,定住ブラジル人の円滑な統合に必要となる教育政策に対して提言を行う場合の参考資料となりうるものである。
|