最初の年度である平成15年度は「文字及び音声言語情報のオンライン処理プロセスの基礎研究I」のテーマにそくし、主に基礎研究を行うための実験環境の整備及び具体的実験デザインの充実をはかった。具体的には以下の通りである: 1.文献研究 「文字及び音声言語情報のオンライン処理」及び短期記憶の一概念である「ワーキングメモリのメカニズム及びいくつかのモデル」に関する文献を収集した。特に実験デザインにおいては、厳密なる速度測定と提示刺激情報の条件等の整備を意識して作業をすすめた。 2.多様な研究情報の収集 特に「ワーキングメモリ」という記憶モデルの視点から研究を進めるにあたり、国内外の心理学会を中心に参加し、数多くの参加者と意見の情報交換をはかった。基本的に大部分の文献及び発表における実験の刺激言語の材料は被験者にとって母国語が多く、第二言語や外国語が少ない中、特にバンクーバーで行われたPsycho-nomic Society Annual Meetingにおいては多様な言語の刺激条件での発表もわずかながらあり、貴重な意見交換がなされ、研究の充実にとって有益であった。 3.文字及び音声言語情報処理のメカニズムを測定する機器の選定 当初の予定とは大幅に異なる限られた予算の中で、代案としての具体的機器の可能性を模索した。文字及び音声言語処理速度が厳密に測定可能な機器を選定し、実験環境の充実にはかった。 以上、1〜3を基に次年度、具体的に基礎データを入手していく計画である。
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