本課題研究の目標は多読授業の「開発、普及、IT化」であった。その成果は次の通りである。 *開発 授業の開発については、補助金により多読用図書を購入、そのレベル分け、実際の授業で使用して、学生の反応を収集した。また、多読指導技術の開発を進めた。 本補助金により購入した図書を加えて、所有図書数は3000冊を越え、そのすべてを補助金による謝金でレベル分けした。 *普及 多読授業普及のためにこれまでの開発成果を『教室で読む100万語 多読授業のすすめ』(酒井邦秀、神田みなみ、大修館書店)として2005年の4月に出版した。 また、実地に各地の中学、高校、高専、大学を訪問し、多読授業の理論と実践について講演、指導を行った。とくに沖縄高専においては多読授業を軸に全体のカリキュラムが設計されるなど、各校、各大学で継続的に多読授業が実施されるようになり、さまざまな成果の報告がなされている。 *IT化 図書管理・読書記録システムを開発した。上記で購入した多読用図書をウェブ上へ登録し、試験運用を開始した。これにより、これまでともすれば煩雑になりがちだった多読の記録作業が簡便化され、学生にとっては記録しやすく、指導者にとっては記録を参照しやすくなったが、改善の余地はまだ大きいと言わざるを得ない。
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