研究概要 |
阿久津昌三が、主として「他文化主義と多文化教育の理論」について理論的研究を追究し、その結果を基礎資料として渡邉時夫と、理論研究の調整を行った。阿久津の理論研究の一部は、「アサンテにおける葬儀の政治学…死と再生の民俗誌をめざして…」(『アフリカ研究』62,43-55(2003))及び「社会調査方法論の再検討…異文化理解と文化人類学のディスクール…」(『法学研究』(慶応義塾大学法学研究会編77.No.1.2004.1)にまとめられた。 阿久津は、後者の論文の中で、「異文化」と言う場合にとかく、対象となる「他者」について語られ、異文化の語り手である「私」が何者であるかについては語られない傾向にあったことを再考すべきであることを指摘。渡邉は、この主張を受け、異文化を語る場合には、常に「自文化』を意識した上で対象となる文化を分析し、自文化との対比を厳密に行うことの方法を、教育現場に導入することを追求した。その結果、中学校・高等学校における異文化(国際)理解教育の典型的な場面である外国人とのティーム・ティーチングに焦点を当て、新しい視点に立った異文化理解教育の実際を「ALTとJTEとのTeam-Teachingの基礎・基本」『Teaching English Now(三省堂5.』として4回シリーズでまとめることにした(第1回は、04年3月)。また、渡邉は、同じ理論的な視点から、小学校英語教育の教科書『KIDS CROWN』(三省堂出版・04.3.)(監修)を執筆した。 研究の第2年度には、このテーマをさらに深く追求し、21世紀の異文化理解教育に役立つ実証的・学問的成果をあげたいと願っている。
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