中国語文法をどのように教えたらいいのか、という点にたちかえり、各文法項目が持っている特質を検討した。その結果、比較的容易に理解でき、変種も少ない文法(たとえば、受け身用法)や、日本語にはないために理解が難しく、また、変種も多く、数多くの用例に当たらなければならないものが存在することを明らかにした。そのあと、どの文法をどの時期に教授すべきかという問題を検討した。 また、現在出版されている中国語テキストの調査を行なった。中国語教授法の進展に伴い、工夫された教科書が数多く上梓されている。どういう点に工夫が施され、どういう成果を上げているかを知ることを、本研究の出発点とするためであった。調査の結果、多くの教科書で扱う文法事項の登場順序はバラバラであり、どのような順序で学べばいいのか検討がなされていないと思われた。われわれの文法研究を生かして、新たな教材作成が求められた。その点をふまえ、理想とする教材作成を進めた。 特定の教科書の単語のみを学んでいると、不足が生じて、実用性に乏しくなる。そこで、1〜2年生が学んでおくべき単語・イディオムをデータとして構築し、それを活用できる電子ファイルを作成した。これを単語学習ソフトウェアに読み込ませて、学生が自宅で単語の学習ができるように整備した。 さらに、中国では人気の高い伝奇小説を易しい口語に直して、学生に読ませる試みを行なった。文語的な表現を学習させる取り組みとして、行なったものである。使用した教材の一部は1年生用の教材として、整備中である。
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