まず、カナダのイマージョン教育の有効性をプログラム特性に注目して分析するための第一段階として、まずそのカリキュラムに注目して研究を進めた。具体的には、イマージョン教育の先進地であるオンタリオ州の教育省が公示している第二言語としてのフランス語(French as a Second Language)カリキュラム、その中でも特にフランス語イマージョンプログラム(French Immersion Programs)のカリキュラムに注目し、その特徴を分析するとともに、現地での授業観察並びに教育関係者とのインタビューを通してカリキュラムの実施状況を把握した。その結果、イマージョンプログラムに限らず、オンタリオ州の学校教育においては、教育の質を判断するための指標がインプットからアウトプットへと移行している世界的な流れの中で、いわゆるOutcome-based Curriculumが採用されていること、および、教育現場においてはこのカリキュラムの根幹をなす評価観点、評価規準、および評価基準(いずれも州で統一)をもとに個々の教師が単元ごとに独自のルーブリック(判断基準)を作成し、指導に当たっている姿が浮き彫りになった。 以上の分析と平行する形で、イマージョンプログラムの有効性についての関係者の意識を調べるための第一次調査を実施した。調査の方法としてはアンケートとインタビューを使用した。調査した項目は、プログラム履修動機、獲得されたフランス語能力への満足度、プログラムへの満足度、プログラムの目的の達成度、プログラムが成功した要因、プログラムの改善点等である。現在、その結果を分析し、論文の形にまとめているところである。 これら二つの作業と平行する形で、イマージョンプログラムの有効性を調査した先行研究の収集と分析を行い、その結果の一部を論文の形にまとめることができた。
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