本研究の成果は、次の2つに集約される。 一つ目は、パソコンが普及し、インターネットをはじめとする情報通信技術が進歩した現代における、デジタル・アーカイブを用いた英語教育・異文化コミュニケーション教育の意義・方法・課題を考察したことである。そのために教材の開発・調査・遠隔教育を実施した。 二つ目は、アメリカ文学・文化研究の第一人者の一人である亀井俊介氏の、岐阜女子大学大学院における授業アーカイブを構築し、亀井俊介氏の「知」を記録・保存・利用するとともに、アーカイブ化の意義・方法・課題について考察したことである。 デジタル・アーカイブ開発の各段階(現物層・計画層・記録層・データベース層・プレゼンテーション層・利用層)で、それぞれ必要とされる知識と能力、英語・英米文学・英米文化・異文化理解に関する知識、デジタル・アーカイブを構築するために必要な撮影・編集の技術、アーカイブを管理する上に必要な著作権等知的財産権に関する知識・コミュニケーション能力・二次情報の設定管理能力・調査検索能力などに関する考察と、こうした能力を育成するための、カリキュラム構成などに関する基盤的研究を行った。 また、情報化社会の中で、デジタル・アーカイブが、どのように教育に利用されうるのか、教育利用のためのデジタル・アーカイブの構成要素はどうあるべきかを考察した。 更に、従来のアーキビストの社会における役割と、今後必要とされてくるデジタル・アーキビストの社会における役割を比較検討しつつ、英語教育・異文化コミュニケーション教育をテーマとしたデジタル・アーカイブの開発・流通を考える上で、デジタル・アーキビストに必要な能力に関しての基盤的な研究を行った。
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