平成16年度は昨年度の研究成果を『朝鮮語の品詞論および助詞』と題した冊子にまとめ、研究参加者が基本的な文法観を共有した。それを基盤として例文集の作成、漢字語を利用した教育課程の開発、朝鮮語/日本語双方向の教材をおこなった。 これらの作成にあたっては、従来のものがいわゆる公式の場のよそよそしい文体で話し言葉なのか書き言葉なのかあいまいであったものを、明瞭に分け、特に話し言葉はネイティブスピーカーにとって俗に感じられても、現実を反映するようにこころがけた。 例文集は朝鮮語の見出し語と例文および日本語対訳からなる。語彙は韓国人の日常生活、日本人の日常生活でよく用いられ、現代の生活をよくあらわす単語を中心に選んでいる。日本語の対訳は朝鮮文の統語を示唆するような訳でなく、生活でのニュアンスが出るよう留意した訳文とした。 漢字語を利用した教育課程のプログラムは文法の基本概念と語彙は漢字音を知ることで増やしてゆくという方針のもとに順序よく言語材料を導入することを目指した。 朝鮮語/日本語双方向の教材は話し言葉を文法的に説明し、日本語の知識をもとに朝鮮語への移行がおこなえるように練習問題を多くつけたものを開発した。これまでの教材ではパンマルは余りにもぞんざいな語尾として忌避されてきたが、ここでは家族、友人の間ではつねに使われ、テレビドラマでもよく使われることを考慮しパンマルの教材を試みた。文法の用言語尾については終結語尾、接続語尾、接辞に分け、報告書が作成される。
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