研究概要 |
1)イェール大学シャルダン・コレクションを実際に調査し、そのデータベース化を行った。その結果、これまで漠然と千点程度とされていた文書の数が、正確には710点であること、大部分を占めるフランス語、英語の文書以外に、ポルトガル語文書が20点、オランダ語、イタリア語、アルメニア語文書が各1点含まれていることを確認した。また、文書の種類は、手紙の他に、送り状、請求書、領収書、計算書、公証人文書、契約書など、多岐に亘っていることが分かった。データベースには、文書の発信人、受取人、日付、発信地、言語,枚数、検索番号の欄を設け、コレクションの全体を容易に把握できるように配慮した。 2)コレクションのうちから重要だと考えられる文書を選び出し分析する作業を開始した。ダニエル・シャルダン夫妻と現地マドラスの人々との関わりを具体的に示す文書はコレクション中には存在しないが、夫妻の財産目録や知人との通信などによって、彼らの活動をある程度まで明らかにすることは可能である。主として2年目に行う予定のこの作業の下準備を行った。 3)以上の作業を行うにあたって、イェール大学バイネッケ貴重書図書館で実地調査を行った他、オランダ国立公文書館、フランス国立図書館などで補足的な文献調査を実施した。 4)シャルダン・コレクションの一部をも利用した研究発表「シャルダン兄弟の信仰とナショナリズム」を「ヨーロッパにおける宗教的寛容と非寛容」研究会(深沢克己東京大学大学院人文社会系研究科教授主宰)において行い、研究論文を3点執筆・発表した。
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