研究課題
基盤研究(C)
1)イェール大学が所蔵するシャルダン文書を調査し、このコレクションが著名なペルシア旅行記作者ジャン・シャルダンの弟で、マドラスで貿易活動に携わったダニエル・シャルダンとその妻マリ・マドレーヌが受け取った書類(手紙、各種計算書、送り状、請求書、契約書、領収書、公証人文書、手形など)708点からなることを確認した。このうち、少なくとも、ダニエル宛のものが202点、マリ・マドレーヌ宛のものが281点あるが、マリ・マドレーヌ宛文書のかなりの部分は、彼女が夫の死後イギリスに戻ってから受け取ったものである。2)これらの文書の種類、発信者、発信地、発信日時、受取人、使用言語、枚数、簡単な内容を英語でデータベース化した。英語とフランス語の文書が多いが、ポルトガル語(20点)、アルメニア語、オランダ語、イタリア語(各1点)など、インド洋海域世界で生活していた夫妻の交友関係をうかがわせる多言語の文書コレクションである。このデータベースは、準備が整い次第東京大学東洋文化研究所のウェブサイトに掲載される予定である。3)コレクションの一部を史料として使用して、2004年7月9日の国際商業史研究会(於東京大学)「あるユグノ商人の妻:イェール・シャルダン文書の分析から」と題する報告を行った。17-18世紀において貿易商人が家族を連れて海外に赴く例はきわめて珍しい。また、当時の女性の立場や家庭生活についてはまだ不明な点が多く残されている。その意味でとりわけマリ・マドレーヌの生涯を文書群から再現することは、社会史、女性史研究として意義深いはずである。4)上記の報告内容を柱として、『あるユグノ貿易商人の妻』と題する書物を、山川出版社の「ヒストリア」シリーズの一冊として公刊する予定で、現在その準備作業を進めている。5)このテーマに関連して、英文、和文で研究論文6本を執筆し、うち5本はすでに刊行された。
すべて 2005 2004 2003
すべて 雑誌論文 (12件)
Annals of Japan Association for Middle East Studies 20-2
ページ: 119-130
港町の世界史3:港町に暮らす(羽田正(編)) (印刷中)
記録と表象:史料が語るイスラーム世界(林佳世子, 桝屋友子(編))
ページ: 81-112
World History viewed from Port Cities 3 : Living in a Port City (Haneda Masashi (ed.))(Aoki-shoten) (in print)
Records and Representation : the Islamic World Related by Historical Sources (Hayashi Kayoko, Masuya Tomoko (eds.))(University of Tokyo Press)
フランスとその<外部>(石井洋二郎, 工藤庸子(編))
ページ: 147-169
France and its Exterior (Ishii Yojiro, Kudo Yoko (ed.)) (University of Tokyo Press)
歴史としてのヨーロッパ・アイデンティティー(谷川稔(編))
ページ: 307-325
イスラーム地域研究の可能性(佐藤次高(編))
ページ: 21-48
European Identities as a History (Tanigawa Minoru (ed.))(Yamakawa-shuppansha)
The Possibilities of Islamic Area Studies (Sato Tsugitaka (ed.)) (University of Tokyo Press)