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2003 年度 実績報告書

16世紀イエズス会インド管区の経済構造に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 15520387
研究機関苫小牧駒澤大学

研究代表者

高橋 裕史  苫小牧駒澤大学, 国際文化学部, 助教授 (30305966)

キーワードイエズス会 / ポルトガル / インド / キリスト教 / カトリック / キリスト教経済 / ヴァリニャーノ / コレジオ
研究概要

平成15年度においては、イエズス会インド管区内のゴア、コチン、バサイン、サルセッテ、マラッカおよび日本の各コレジオの財源=定収入の構造を116世紀当時のイエズス会史料(カタログ、インド管区協議会議事録、宣教師の個別書簡、巡察報告書など)を分析の素材として研究し、その結果、以下の事実を解明した。
1.定収入の総額ではゴアのコレジオが筆頭に立ち、以下バサイン、コチン、サルセッテと続く。
2.定収入の入手経路はポルトガル国王、インド副王、篤志家で、その種類は国王年次給付金、土地などの不動産などであった。
3.定収入の使途は教団関係施設や学校などの運営費に充当されていた。他の注目すべき用途に、イエズス会保有の奴隷・従僕への支出、軍事目的の支出が確認された。
4.コレジオの収入の管理はコレジオ院長、財務会計担当プロクラドールによって行われていた。
5.インド区内はもとより日本における教団の発展と教勢の拡大は各コレジオの財政を圧迫し、各コレジオは財政難に陥り、多額の負債を抱えていた。
このように、イエズス会インド管区内コレジオは、その果たす職務内容と機能の重要度が、定収入額の「多寡」という形で反映されることなって、コレジオの「経済的序列化」現象が見られるにいたった。また財政難と負債の深刻化は、例えば、日本のコレジオに給付された財源の一部が、ゴアやマラッカのコレジオ関係者によって流用されるなどの不正行為が行われ、日本とインド双方のイエズス会の関係が悪化することとなった。
本年度の研究は、前年度の研究を踏まえ、イエズス会インド管区が、いかなる類の資産等を保有し、それがどのような目的に使用されていたのか.イエズス会の「資産目録catalogus rerum」とインド管区協議会の議事録、イエズス会員の個人書簡を手がかりに究明することとなろう。
なお平成15年度の本研究の成果を、2003年度政治経済学・経済史学会(旧土地制度史学会)「秋季学術大会・総会」において「イエズス会に見られる近世修道会経済の一側面-イエズス会インド管区コレジオの財源構造を事例に-」として口頭発表した(2003年10月18日(土)、於・九州国際大学)。

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公開日: 2005-04-18   更新日: 2016-04-21  

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