1.佐藤昌介、新渡戸稲造、高岡熊雄の論説、新聞記事などについて、引き続き資料を探索し、資料調査をおこなった。 2.佐藤昌介による最初期の植民論講義ノート(毛筆の草稿)の解読を引き続きすすめた。解読が困難だったなかで、英文部分については、英文学、イギリス近代史研究者の協力をいただいて第二回分の解読を完成し、「佐藤昌介「植民論」初期講義ノート(中)-札幌農学校と植民学(3)-」(『北海道大学文学研究科紀要』116号)として公表した。 3.佐藤昌介の植民論初期講義ノートを解読することで、佐藤昌介が、留学したアメリカ、ジョンズ・ホプキンス大学の経済学の教官イーリーらの影響を強く受け、イーリーから摂取した「自作農創設論(ホームステッド法論)」などを、佐藤の植民学に取り入れていたこと、その後、イギリスの植民学者メリヴェール、ウェークフィールドたちの学問を、摂取して、植民学の学問内容を変容させたことなどを解明することができた。 4.高岡熊雄の論説を調査することによって、「満州」農業開拓の実地調査などを解明することができた。 5.札幌農学校・北海道帝国大学の植民学の生成と展開について「札幌農学校と植民学の誕生」という研究論文を『岩波講座「帝国」日本の学知 第1巻「帝国」編成の系譜』(酒井哲哉編 岩波書店 2006)に公表した。
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