研究課題
基盤研究(C)
本研究では、歴史学の西山と建築史の藤田が共同で従来の成果を受け継ぎ、さらに考古学・造園学から研究協力者の参加を得て、平安京の居住形態と住宅建築を学際研究する。そのため、代表者・分担者が中心となって研究会を準備・企画・開催し、報告や討論を通じて論点を深化させた。研究会は4回開催したが、幸い各々30名以上の参加を得て、多大な成果をあげた。第一に、平安京右京3条2坊16町(斎宮邸宅跡)の報告書を継承しつつ、貴族住宅の視角からその特徴を分析した。また、斎宮邸宅跡の園池や、親王・内親王の居住形態を検討した。第二に、第一の論点を一般化し、平安前期の貴族住宅を、長岡京や平安京の最新の調査成果や伝領の観点などから考察した。あわせて、平安京の門や門前の性格を意義づけた。第三に、都市住人の居住や住宅を町屋の成立に焦点をあて、発掘遺構や文献の小屋などから検討した。遺構や小屋を総合し、従来の町屋成立論を一新させ、11世紀に平安京で町屋が成立すると結論づけた。第四に、方向性(東西と南北の優越性)の問題として、宮城の対称性、貴族住宅の正門、街路と宅地を取り上げたが、相互の関連がなお課題となった。以上の諸成果は報告を大幅に充実させ、成果報告書に集約の予定である。当初の計画は大半が達成でき、予想を超越する充実した内容となった。なお、当初の計画のうち、平安貴族の居住形態は検討できず、平安京の方向性の問題とともに、別途研究を継続する手筈である。
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日本建築学会計画系論文集 580
ページ: 221-228
Nihon kenchiku gakkai keikakukei ronbunshu (Journal of Architecture, Planning and Environmental Engineering) vol.580
院政期文化論集 3
ページ: 211-237
Insei-ki bunka ronsha (Collection of Papers on the Culture of the Period of Retired Emperors) vol.3