研究課題
基盤研究(C)
本研究の目的は、100点以上現存する中国敦煌・トルファン文献書儀の分類整理を行い、精度の高い校訂本文を作成し、その上で日本古代国家・社会における書儀の受容の実態を明らかにすることである。文字を持たなかった日本の古代社会は、表現媒体として中国の文字である漢字を摂取し、漢字を使って自らの思考や感情を表記するようになったが、その際、実用的な一種の百科全書である中国の書儀は、従来考えられていた以上に積極的に活用されたと推測される。16年度に中国武漢で開催された国際学会で、台湾故宮博物院所蔵の「唐人月儀帖」と敦煌文献朋友書儀との関係を明らかにし、17年度には、これに加えてかつて私が学界に紹介した日本個人蔵の朋友書儀写本とあわせ、朋友書儀に関して、高い精度の校訂本文を作成した。またロシア所蔵の敦煌文献に最古の書儀である「索靖月儀帖」断簡があることを見出した。その上で日本古代社会における書儀の受容の具体的な様相を、正倉院文書などの検討を通じて明らかにした。(以上、「研究成果報告書」所収)いわゆる吉凶書儀については、これまで本格的な検討がなされてこなかったロシア所蔵の敦煌文献について、写真版からのピックアップを行った。ただほとんどが断片であり、一覧表作成をするにとどまっている。また科学研究費基盤研究(B)(課題番号17320096)「在ベルリン・トルファン文書の比較史的分析による古代アジア律令制の研究」(研究代表者:小口雅史法政大学教授)の共同研究者として17年10月にベルリン国立図書館所蔵のトルファン文書を調査した際、書儀の類も実見・調査した。朋友書儀・月儀の検討から、日本における初期の往来物についての検討が必要になったと認識した。往来物の中でもとくに「十二月往来」に分類される「古往来」と月儀との関連についての比較研究に今後は取り組むつもりである。
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