研究課題
基盤研究(C)
本研究では次の4点を柱に検討を進めた。その成果・知見を事項別に報告する。(1)地方官衙遺跡・出土木簡の集成。新しい古代史の史料としての地方官衙遺跡出土木簡には注目すべき研究材料がある。本研究遂行のための基礎作業として、『木簡研究』や各種報告書に依拠して地方官衙遺跡出土木簡の集成を行い、それを「地方官衙遺跡と出土木簡一覧(稿)」として報告書に掲載した。(2)国郡の行政組織の研究。特に基本となる郡務について、郡家とその部署の具体相を探り、関係史料を集積し、論文としてまとめることができた。また石川県河北潟周辺遺跡出土の木簡調査により、郡務を担う郡雑任の執務と彼らが基盤とする村の様子を考察し、その知見を報告書に掲載した。(3)地方官衙における文書体系の構築。(1)の作業をもとに、郡家と国府・国分寺関係の木簡が出土している但馬国の事例を中心として、古代の地方支配における文書行政の全体像、地方官衙遺跡出土木簡の特色や類型についての知見を整理し、実務運営における木簡使用方法の全体像を明らかにする糸口を得ることができ、これを論文としてまとめた。(4)郡務運営方式の由来。以上によって明らかになった8世紀以降の国郡務の実務運営の由来を律令制的地方支配成立以前の評制下や国造の実務遂行のあり方に探り、部民制的収取の方式に1つの淵源を見出すことができ、それが評制下、さらには律令制地方行政機構の実務執行を円滑に進め得た背景であることを具体的に解明し得たものと考える。
すべて 2005 2004 2003
すべて 雑誌論文 (8件)
東洋大学文学部紀要史学科篇 30
ページ: 1-39
Bulletin of Toyo University, Department of History(The Faculty of Literature) 30
東洋大学文学部紀要史学科篇 29
ページ: 65-115
Bulletin of Toyo University, Department of History(The Faculty of Literature) 29
弘前大学国史研究 115
ページ: 1-25
歴史評論 643
ページ: 17-28
Journal of Japanese History, Hirosaki University 115
Historical Sciences Review 643