本研究は、華族西園寺公望家の文庫より発見され、立命館大学貴重書庫に寄託されている元老西園寺公望の関係史料について、目録化し、その詳細について整理・紹介を試みたものである(すでにその内の書簡編に関しては、日本学術振興会科学研究費補助金の交付を得て、目録化・整理・翻刻作業を終了している)。 本研究では残る膨大な書類群に関して、(1)全体を目録化する、(2)その内主要なもの数点について、整理作業を加えると共に、内容紹介とくずし字文書については翻刻作業を行う、という二点を主たる目標として進められた。 研究代表者の元には関西圏各地の大学院生が集まって西園寺公望関係文書研究会を組織し、整理作業に参加した。彼らの協力によりくずし字史料の翻刻や内容分析、背景説明などの研究作業が著しい進展を見たことを特記しておきたい。研究会は月一回のペースで開かれ、各メンバーが担当する部分について、内容紹介とくずし字史料の翻刻成果が発表された。また春夏冬の各休暇には長期の整理作業期間も設定して作業を進めた。 当初予定していた作業の内、全体の目録化については完全に終了した。整理作業については、全体の約半分については、内容紹介と主要なくずし字史料の翻刻を終えることが出来た。今回整理した書類の中には、第二次西園寺公望内閣の内閣機密費に関する史料群など政治史的に貴重なものがいくつか含まれており、それらについては今後順次、史料紹介の形で学界に公開する予定である。なお、その一つとして、小山俊樹による内閣機密費の史料紹介が『メディア史研究』2006年5月号に掲載されている。
|