研究課題/領域番号 |
15520422
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研究機関 | (財)元興寺文化財研究所 |
研究代表者 |
小村 眞理 (財)元興寺文化財研究所, 研究部, 研究員 (10261215)
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研究分担者 |
植田 直見 (財)元興寺文化財研究所, 研究部, 研究員 (10193806)
井上 美知子 (財)元興寺文化財研究所, 研究部, 技師 (70223279)
木沢 直子 (財)元興寺文化財研究所, 研究部, 研究員 (50270773)
佐藤 昌憲 京都工芸繊維大学, 名誉教授 (30027859)
小山 弓弦葉 (独)東京国立博物館, 文化財部, 研究員 (10356727)
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キーワード | 撚り糸 / 『止戈枢要』 / 手世良(テセラ)糸 / 前漢 / 纓 / 詩経 / 周 / 執轡如組 |
研究概要 |
組紐の復元技術については絹糸の撚り方の解明が大きな課題であったが、近世の組紐では、栃木県大田原市芭蕉の館所蔵の『止戈枢要』中に記載のある「手世良(テセラ)糸」の捻方を参考にすることができる。これには、回転する道具を使用する例と、竹を鳥居のように組んで地面に数箇所設置し、柊またはチサで作ったコマを樫の拍子木で廻す例等が示されている。水に十分湿らせた糸を撚るのには乾燥した時期を避け、4,5,6,7月が適していることなど、具体的な情報が得られ貴重である(実験の予定)。 精練技術については、延喜式で述べられる「藁」を材料とした灰汁をもちいて、竈で実験を行った。当時、安定した温度を保って合理的な精練を行った状況が理解できる結果であった。この精練液については、奈良県工業技術センターにて成分分析を行った。含まれる微量の金属元素の働きが精練の結果を左右するとの説があり、これを理解することが目的である。分析結果からは、灰の浸潰時間によって、灰汁の成分が異なることも確認された。 日本で伝えられているこの組紐製作技法の起源については中国であると理解されており、これまでのところ最古の例としては前漢出土品「纓」にその技法の使用の可能性が指摘されている。さらに遡って周代の歌謡を集めたといわれる中国最古の詩集『詩経』のうち2篇に詠まれる「執轡如組」という一節がこの技法の存在を示すものと推察され、古典の伝える情景を具体的に理解することが可能となった。このような認識をより広く紹介するため、「執轡如組」と題し(宗)元興寺との共催で秋季特別展覧会を行った(会期は2005年10月30日から11月13日)。また展覧会に因み、(財)野村国際文化財団の助成により「シンポジウム-組紐古技法を語る」を開催した。
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