研究課題
本年度は研究計画の最終年度として、成果とりまとめに重点を置いて研究を遂行した。1.内陸アジア方面におけるイスラーム最初期の交通路については、アフガニスタン北部において新たに発見された仏教遺跡およびそれに関連すると目される遺跡・廃嘘群に関する情報を収集・検討し、バーミヤーンから直接西に向かってグーズガーナーン方面へと抜ける交通路の存在を明らかにし、また同時に仏教の最終局面とこの交通路の存在が深い関わりを持っている可能性があることを知ることができた。その成果の一端は、1月に口頭発表として公表した(龍谷大学仏教史学会総会)。また3月にはこのテーマに関する国際研究集会New Research to Trade Routes Across Middle Asia from 7th to 10th century(主催:ウィーン大学芸術史研究所)において、基調報告を行った。2.海上ルートに関する研究については、一昨年末のインド洋大津波の影響で、スリランカにおけるフィールドワークは本年度も実施することができなかった(インフォーマントとの連絡が全くつかなくなっている)ため、主にこれまで蒐集したデータと文献資料の再検討を中心に作業を行った。その結果、海上ルートによるイスラーム伝播が、商業交易活動によるのみでは大きな拡大が見込めなかったのではないかという見通しを得ることができた。この点については成果報告書にまとめたが、いずれ拡張した形で公表する予定である。3.上記の二つの課題についてはスリランカのフィールドワークを除いて、ほぼ当初の目的を達成することができた。今後は、これらの課題を包括すべく、複数文化接触領域における宗教伝播の基礎的研究を推進する予定である。
すべて 2006
すべて 雑誌論文 (2件)
Report of the Iran-Japan Joint Research on the Diffusion of Buddhism in Iran
ページ: 1-4
Zinbun, Annals of the Institute for Research in Humanities 38
ページ: 1-19