研究課題/領域番号 |
15520429
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
水羽 信男 広島大学, 総合科学部, 助教授 (50229712)
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研究分担者 |
曽田 三郎 広島大学, 大学・院文学研究科, 教授 (40106779)
楠瀬 正明 広島大学, 総合科学部, 教授 (40033518)
金子 肇 下関市立大学, 経済学部, 教授 (70194917)
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キーワード | 中華民国 / 北京政府 / 都市 / 都市 / マス・メディア / 立憲主義・立憲運動 / リベラリズム / 中央・地方関係 |
研究概要 |
本年度の科研費にもとづく研究の実績の概要は、以下のとおりである。 まず史料の購入に関しては『国訊』と昨年度、購入を控えた『大公報』を購入した。前者は黄炎培をリーダーとするブルジョワジーの立場に立つ刊行物で、中国のマス・メディアの複雑な様相を理解するうえで、極めて重要な史料である。後者は中国のマス・メディア形成史において、もっとも重要な役割を果たした新聞のひとつで、都市のリベラルな世論の動静を検討するうえでの必須の史料である。本年度は代表者を中心として、これらの史料を中心とする関連文献を丁寧に講読することに全力をあげるとともに、台湾の国史館を訪問し、中華民国の南京国政政府および重慶国民政府時期における地方自治および自由主義者の活動に関する史料を収集した。 公刊した業績では、都市と権力の関係を考えるうえで重要な視点の一つとして、立憲運動・立憲主義をめぐる問題に着目した。具体的にいえば、それは清末では国会開設運動として新聞紙上を賑わすことになり、中華民国の北京政府時期には、統一国家としていかに中央・地方関係を法的に構想するか、という現実的な政治課題として、当時の権力にとって中心的課題のひとつとなった。中央・地方関係のありようは、ヨーロッパに匹敵する規模をもつ中国では極めて重要な問題であり、たとえば山東省では日本との関係を深めつつ、中央政府との緊張関係を持ちながら、地方経済が発展したことを想起すれば了解される。また北京政府時期には、中華民国の成立を導いた辛亥革命そのものについても、さまざまな議論がマス・メディアを通じて表明され、あるべき立憲主義の完成をめざすリベラリズムの立場が明示された。
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