研究課題
基盤研究(C)
1.中国の商会(商業会議所)は清末の成立から一貫して経済発展を担う民間社会団体であり、海外華商とも中華総商会を通じて制度案結びあうメカニズムをもつ。社会主義中国の誕生で、一時期活動を頓挫した華商ネットワークは、開放政策に束卿された海外華商(中華総商会)を発信源に、世界華商大会という名目で再び活性化した。本研究は、現在の華商ネットワークまでを視野に入れ、その史的展開を分析するものである。2.本研究では、中華総商会を華僑社会の中核組織としてのみ見るのでなく、海外に延びていった商会システムの末端という視点から捉えなおした。華商ネットワークという側面から中華総商会の特色と役割を分析し、その共通性を分析した。その結果得られた知見は以下の通り。(1)中華総商会ネットワークの形成は上海を中心に計画された中国華商銀行設立の動きと密接な関係があり、初期に機関紙の役割を果たした『華商聯合報』の中核もこの上海人脈に拠る。(2)この運動に特に敏感に呼応したのは国籍法をめぐりナショナリズム論議が高まった蘭領東インド地区の華僑であった。(3)華商聯合報のネットワークは南方へはシンガポールを中心に主に蘭領東インド地域に伸び、東は三江幇を通じ、日本の華商集住地に伸張した。西はヤンゴンから東はニューヨーク、北はロシア沿海州から南はメルボルンの環太平洋地区に分布する中華総商会ネットワークの中枢を形成した。(4)中華総商会の役割は、商事仲裁と調停、商界秩序の維持など国内の商会がもつ機能に加え、行政代行機能に特色がみられる。パスポートの代理発行とその保証磯能、僑郷の家族との相続財産をめぐる案件への関与が具付約な職能である。「関防(政府公印)」使用権を付与された総商会が「商照(商人の通行証)」発行等の慣習を有していたが故の機能であり、権威の行使という中国社会の特質に関わる問題が色濃く認められる。
すべて 2005 2004 2003
すべて 雑誌論文 (12件)
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