本年度は望山楚簡「卜筮祭祷簡」、及び平夜君成墓楚簡「卜筮祭祷簡」の研究を実施した。包山楚簡「卜筮祭祷簡」の体例を基準として望山楚簡「卜筮祭祷簡」を分析すると、両者は基本的に同じ構造をもっていることが理解できる。ただし「習卜」や「斎」などの占卜・祭祀に関しては、まだ今後の検討が必要である。さらに平夜君成墓楚簡「卜筮祭祷簡」を分析すると、その基本内容がすべて疾病貞であることが判明し、その点で包山楚簡や望山楚簡が歳貞と疾病貞の両者から成るのと基本的に異なる。これら三者の年代の先後は平夜君成墓楚簡・望山楚簡・包山楚簡の順であるが、三つの「卜筮祭祷簡」の比較検討によって、この順に「卜筮祭祷簡」の体例が完成してゆくプロセスがほぼ明らかとなった。では「卜筮祭祷簡」の完成段階を示している包山楚簡段階の「卜筮祭祷簡」からさらにどのようにして「日書」が生まれてくるのか、これが次の大きな課題となるであろう。
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