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2005 年度 実績報告書

秦簡・楚簡よりみた中国古代の地域文化の研究

研究課題

研究課題/領域番号 15520434
研究機関早稲田大学

研究代表者

工藤 元男  早稲田大学, 文学学術院, 教授 (60225167)

キーワード睡虎地秦簡 / 楚簡 / 張家山漢簡 / 地域文化 / 出土文字資料 / 巴蜀文化 / 楚文化 / 張家山漢簡
研究概要

(1)中国武漢大学・荊州市博物館と共同で進めてきた張家山247号漢墓竹簡司法関係文書の早稲田側担当部分の日本語原稿を完成した。来年度中に中国で共同出版予定。
(2)2005年夏期、四川省&ケイ経県・青川県等、秦人が巴蜀に遷徙したルート上の調査を行った。その調査成果を踏まえ、秦の法制支配がどのように地域社会に及び、影響を与えたのかを"徒民"という視点から、巴蜀の地を地域モデルとして提示した。
(3)楚文化と卜筮祭祷に関して、以下のことを明らかにした。本来、被葬者の病因を貞問する「疾病貞」に淵源する卜筮祭祷習俗が、王権との関わりとの中で国家祭祀に吸収され、毎年年度始めに向こう一年間の無病息災を貞問する定期的な「歳貞」と「疾病貞」とに整理統合され、体系的な構造とシステムをもった卜筮祭祷習俗という一つの完成形態として成立した、と。そこでこのような卜筮祭祷習俗が如何なる意味で楚文化として固有なものであるかを検証するため、最近公刊されたばかりの上海楚簡「柬大王泊旱」との比較を行い、それに基づき次のような地域文化の捉え方のモデルを提示した。すなわち、一地域文化としての楚文化は、それを構成する個々の要素(パーツ)を見た場合、必ずしも楚に固有なものではなく、むしろ他の地域あるいはそれ以前の中国文化にみな見出されるものに過ぎない。しかし包山楚簡「卜筮祭祷簡」のように整然と体系化された習俗は他に見られぬものである。このように先秦社会に共通する個々のパーツを一定の文化圏の中で個性的に組み合わせて成立したものが"地域文化"であり、そのような地域文化の形成は王権の伸張と密接な関係がある。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2006 2005

すべて 雑誌論文 (4件) 図書 (4件)

  • [雑誌論文] 楚文化圏の卜筮祭祷習俗-上博楚簡"柬大王泊簡"中心に-2006

    • 著者名/発表者名
      工藤元男
    • 雑誌名

      長江流域文化研究所年報 第4号

      ページ: 9-40

  • [雑誌論文] 秦の遷刑覚書2005

    • 著者名/発表者名
      工藤元男
    • 雑誌名

      日本秦漢史学会会報 第6号

      ページ: 66-92

  • [雑誌論文] 正史刑法志と出土資料のあいだ-内田智雄編『訳注 中国歴代刑法志』・『訳注 続歴代刑法志』の復刊によせて-2005

    • 著者名/発表者名
      工藤元男
    • 雑誌名

      創文 2005-09

      ページ: 19-22

  • [雑誌論文] 早稲田大学長江流域文化研究所2005年度夏期海外調査報告・蜀地における秦人墓の調査を中心に-2005

    • 著者名/発表者名
      工藤元男(共著)
    • 雑誌名

      長江流域文化研究所年報 第4号

      ページ: 425-440

  • [図書] 秦の巴蜀支配と法制・郡県制『地域文化学の構築』(21世紀COEアジア地域文化エンハンシング研究センター編)2006

    • 著者名/発表者名
      工藤元男
    • 出版者
      雄山閣(所収)(掲載予定)
  • [図書] 中国世界遺産の旅3(四川・雲南・チベット)2005

    • 著者名/発表者名
      工藤元男編著
    • 総ページ数
      201
    • 出版者
      講談社
  • [図書] 望山楚簡「卜筮祭祷簡」の基礎的研究『福井文雅博士古稀記念論集 アジア文化の思想と儀礼』2005

    • 著者名/発表者名
      工藤元男
    • 総ページ数
      5-23
    • 出版者
      春秋社(所収)
  • [図書] "卜筮祭祷簡"所見戦国楚的王権与世族・封君『楚文化研究』第6集(楚文化研究会編)2005

    • 著者名/発表者名
      工藤元男
    • 総ページ数
      393-405
    • 出版者
      湖北教育出版社(所収)

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公開日: 2007-04-02   更新日: 2016-04-21  

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