• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2006 年度 実績報告書

秦簡・楚簡よりみた中国古代の地域文化の研究

研究課題

研究課題/領域番号 15520434
研究機関早稲田大学

研究代表者

工藤 元男  早稲田大学, 文学学術院, 教授 (60225167)

キーワード睡虎地秦簡 / 楚簡 / 張家山漢簡 / 地域文化 / 南越国木簡 / 巴蜀文化 / 楚文化 / 閩越
研究概要

本年度の研究は、秦簡・楚簡からみた中国古代の地域文化研究の最終年度として、長江上流域(巴蜀文化)、中流域(楚文化)に続き、下流域の百越文化と南越の問題を検討した。周知のように、秦は六国統一後、百越の居住する江蘇・浙江地域に進出し、この地域を支配した。秦が滅亡すると、それに乗じて秦が嶺南に置いた南海郡尉趙佗が他の二郡を併せて独立し、南越王国を樹立した。本研究においては、この南越王国の建国から前漢武帝による滅亡の間における漢と南越の関係を詳細に分析し、以下のことを検証した。
もともと秦漢の対外政策は、対匈奴関係を中心とするもので、そのためにもとくに前漢は後背地を確保する必要があり、その意味で防衛的な性格を具備し、それがまた同時に執拗な対(閩越)南越政策として現れた。やがて南越が滅びて、南方がそのような役割を終えると、前漢の対外政策は一転して積極的なものとなり、具体的には西南夷・朝鮮半島へ帝国主義的進出に転換してゆくことを実証した。一方、前漢の外臣となって服属すると共に、嶺南において自立的な政治秩序を形成した南越の、アンビバレントな立場を、最近公表されたばかりの南越国木簡によって実証した。
上流域の巴蜀文化については、基本史料である『華陽国志』の問題点が残されていたので、その問題を「四川の古蜀文化-三星堆・金沙遺跡」(『アジア遊学』96、勉誠出版、2007年2月)で概略を指摘した。
なお、楚文化の在り方を検証した「楚文化圏の卜筮祭祷習俗-上博楚簡"柬大王泊旱"を中心に-」(『長江流域文化研究所年報』第3号(早稲田大学長江流域文化研究所、2006年2月)は、『簡帛』第1輯(武漢大学簡帛研究中心、2006年10月)に「楚文化圏所見卜筮祭祷習俗-以上博楚簡《柬大王泊旱》為中心-」として中文訳された。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2007 2006

すべて 雑誌論文 (3件)

  • [雑誌論文] 四川の古蜀文化 三星堆・金沙遺跡2007

    • 著者名/発表者名
      工藤元男
    • 雑誌名

      アジア遊学(勉誠出版) no.96

      ページ: 16-31

  • [雑誌論文] 楚文化圏所見ト筮祭祷習俗-以上博楚簡《東大王泊旱》為中心-2006

    • 著者名/発表者名
      工藤元男
    • 雑誌名

      簡帛(武漢大学簡帛研究中心) 第1輯

      ページ: 137-151

  • [雑誌論文] 東アジア世界の形成と百越世界-前漢と閩越・南越の関係を中心に-2006

    • 著者名/発表者名
      工藤元男
    • 雑誌名

      早稲田大学アジア地域文化エンハンシング研究センター編『アジア地域文化学の発展-21世紀COEプログラム研究集成-』、雄山閣 (所収)

      ページ: 29-63

URL: 

公開日: 2008-05-08   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi