研究課題
基盤研究(C)
本研究の目的は、秦の中国統一の過程、および秦漢帝国の形成過程において、中国の地域文化がどのように変容し、やがて消えてゆくのかという問題を、古代四川の巴蜀地方、およびその東隣の楚地方を地域モデルとして検証するものである。そのさい、本研究でとくに重視している資料が、秦簡・楚簡などの出土文字資料である。これらの出土資料は後世の編集の手が加わっていない一次資料である。秦の巴蜀支配がどのようにして行われたかについて、地方行政制度としての「道」の役割に注目し、その実態を張家山漢簡「奏?書」等から検証した。さらに非秦人たちの居住地域であった巴蜀が秦人の移民によって開発されたことを踏まえて、秦人移民墓から出土した青川木牘の内容(土地制度に関する条文)を分析し、さらにその出土地を現地調査し、秦の占領地支配と移民の関係について検討した。一方、巴蜀にやや遅れて、戦国後期に秦に征服された楚の地からは、戦国時代の楚国の固有の宗教儀礼を示す竹簡資料が数種出土している。そこで、楚における地域文化としてのト筮祭祷簡習俗が、どのようにして形成され、その中からどのようにして「日書」(占いの書)が登場してくるのかを分析した。巴蜀にしても、楚にしても、結局、これらの地は秦の中国統一過程で秦の領土に組み込まれ、秦の法治主義下に置かれ、その過程でそれぞれの地域文化は急速に消滅してゆくが、そのような在地社会と秦漢の法の関係を検討するため、張家山漢簡「二年律令」・「奏?書」を日中共同で研究し、赤外線カメラで撮影した新しいテクストを刊行した。
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すべて 雑誌論文 (18件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (12件) 図書 (6件) 備考 (1件)
記念論集刊行会編『福井重雅先生古稀・退職記念論集古代東アジアの社会と文化』、汲古書院
ページ: 77/98
Collection of essays to celebrate Prof. Shigemasa Fukui's seventieth birthday -Ancient East Asian society and culture-
ページ: 77-98
『地域文化学の構築』雄山閣
ページ: 24/52
ページ: 5/14
長江流域文化研究所編『長江流域と巴蜀、楚の地域文化』所収、雄山閣
ページ: 106/120
Construction of Asian local-cultural-studies
ページ: 24-52
Construction of Asian 1 ocal-cultural-studies
ページ: 5-14
Changjiang Basin and Bashu and Chu local cultures
ページ: 106-120
長江流域文化研究所 第4号
ページ: 15/39
『福井文雅博士古稀記念論集 アジア文化の思想と儀礼』春秋社
ページ: 5/23
楚文化研究会編『楚文化研究論集』湖北教育出版社 第6集
ページ: 393/405
日本秦漢史学会会報 第6号
ページ: 66/92
Bulletin of the research institute of Chang Valley culture No.3
ページ: 15-39
Collection of essays to celebrate Prof Fumimasa Fukui's seventieth birthday-the thought and ceremony in Asian culture-
ページ: 5-23
Collection of essays of the Chu culture No.6
ページ: 393-40
Bulletin of the historical studies of Qin and Han in Japan No.6
ページ: 66-92
長江流域文化研究所年報 第3号
ページ: 9/33
Bulletin of the research institute of Chang Valley culture No.4
ページ: 9-33
http://www.enhan.waseda.ac.jp/