平成15年度の第一次研究段階としては、以下の研究目的を設定した。 1.ベンガル湾海域におけるアルメニアン・コミュニティの現地調査方法の確定と試行。 2.ベンガル湾海域におけるアルメニアン・コミュニティの定住地たる海港都市の確認。 3.アルメニアン・コミュニティの商業・交易活動の拠点たるインドのコルカタ(カルカッタ)およびバングラデシュのダカ(ダッカ)、チッタゴンの実地調査。 上記の研究目的を達成するため、平成15年7月には2週間にわたって、インドのコルカタ(カルカッタ)およびバングラデシュのダカ(ダッカ)、チッタゴンの実地調査を行い、以下の点が判明した。 1.コルカタ市中心部の旧アルメニア通り(現ミルザ・ガリブ通り)にあるアルメニアン・カレジおよびアルメニアン慈善協会本部では、アルメニアから約100名の孤児を呼び寄せ、19世紀以降の伝統文化の維持(宗教慣行・アルメニア教会の修復・墓地の整備・アルメニア語学習など)を行っている。 2.コルカタ市内の主要アルメニア教会施設3か所を訪問し、約300〜400基の墓碑銘を調査した結果、古くは16世紀銘、新しくは20世紀初頭の墓碑が発見され、それらの主たる移住現地表記がジュルファ、新ジュルファなどであった。 3.ダッカのアルメニア教会は、現在、ダッカ市定住の-アルメニア人篤志家によって維持・運営されているが、インド・バングラデシュ・東南アジア(マレーシアなど)の地域間交流・相互扶助はない。
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