研究課題
基盤研究(C)
14世紀〜20世紀初頭の束アジアにおいて中国には明朝と清朝とがあり、朝鮮半島には朝鮮王朝、日本には室町幕府、徳川幕府、琉球には中山王朝が存在した。これらの諸国は、それぞれが当時の東アジア諸国の動勢に無関心ではなく、様々な海外情報を収集していた。本研究は、この時期の東アジア諸国がどのような方法で、どのような内容の海外情報を収集していたかを究明した。香港においてメドハースト(W.H.Medhurst)等が刊行した中国語月刊誌『遐邇貫珍』英文名Chinese Serialである。『遐邇貫珍』は、1856年5月に停刊されるまで全33号刊行された。その毎号の「近日雑報」欄は、当時の東アジア世界の時々刻々と変貌する近代東アジア世界の状況を知る上では重要な記事を掲載した。幕末の日本人にとって『遐邇貫珍』は重要な海外情報として注視されていた。朝鮮王朝は北京で、清朝前期の中国の政治体制が不安定な時期の情報を朝鮮国は、北京で琉球国の通事から台湾鄭経に関する情報や、琉球国に関する情報などの海外情報を収集していた、この同じ時期に、清朝へ朝貢に赴いて北京に滞在していた琉球使節の通事として北京に同行していた福建人の通事より得た情報であった。さらに朝鮮使節は北京で台湾林爽文の乱での反乱の情報を収集している。さらに明朝は朝貢という方法で海外諸国の来航を認めていたが、その際に彼らの情報を得るための通訳には、中国人でなんらかの理由で海外に逃亡した人物が多かったことを明らかにした。以上のように、14世紀〜20世紀初頭の東アジアにおける海外情報を、東アジア諸国が如何に収集していたかの一端が知られよう。
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すべて 雑誌論文 (12件) 図書 (2件)
或問(近代東西言語文化接触研究会) 第9号
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南島史会(南島史学会) 65・66号
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WAKUMON (Journal of Studies on Cultural and Linguistic Exchanges Between China and West) No.9
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WAKUMON (Journal of Studies on Cultural and Linguistic Exchanges Between China and West) No.10
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NANTOH SHIGAKU (Journal of Ryukyuan Studies) Vol.63
WAKUMON (Journal of Studies on Cultural and Linguistic Exchanges Between China and West) No.8