平成16年度中、以下のように研究活動を行なった。 1、国内では東洋文庫、東京大学付属東洋文化研究所、京都大学付属図書館、京都大学文学部付属図書館に赴き、資料を調査収集した。 2、海外では中華人民共和国の国家図書館、北京大学図書館、中国科学院情報文献センター(以上は北京市)、南開大学図書館(天津市)に赴き、資料を調査収集し、現地の研究者との意見交換をもした。 3、中国の南開大学法学院(天津市)において、日本における中国研究の現状について講演を行なった。 4、昨年度と今年度の資料調査で得た資料をもとに、1899年に中国の浙江省で災害救助の資金調達のために開いた捐納(「賑捐」)の捐納者リストをデータベース化した。 5、購入した『明清档案』(第12輯、CD-ROM版)をもとに、捐納に関する資料を抽出する作業をした。 6、昨年度と今年度の資料調査で得た中国清朝時代の官僚名簿である「縉紳全書」をもとに、前近代中国における官僚人事情報の編纂、出版、流通、および使用について、「前近代中国の職員録」を題に、研究論文を発表した。伝統中国の官僚制度を認識するために、官僚の人事を動態的、かつ連続的に記録する「縉紳全書」は無視できない資料である。そのなかには中央官庁に勤める官僚をはじめ、全国各地に配置されるのべ2万名におよぶ文官の人事情報が盛り込まれていて、文官の氏名や出身はもとより、任命方式・着任次期・任地の税額・特別手当の額などを載せている。なお、付録として載せている捐納出身候補官の「分発」資料は、中国清朝時代の官僚制度と捐納制度を研究するために欠かせない資料である。
|