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2004 年度 実績報告書

他者としてのビザンツ人-同時代人の心象世界の中のビザンツ像-

研究課題

研究課題/領域番号 15520446
研究機関金沢大学

研究代表者

根津 由喜夫  金沢大学, 文学部, 助教授 (50202247)

キーワードビザンツ / コンスタンティノープル
研究概要

本年度は、12世紀フランスにおけるビザンツ人のイメージ形成を探求する試みとして、クレチアン・ド・トロワ作の『クリジェス』を取り上げ、検討を行った。この作品の主題は、コンスタンティノープルの帝位を占める叔父と、彼の妃となったドイツ皇女、西欧出身の高貴な女性を母に持ち、帝位の正統な継承者としての地位を保持する甥の三角関係であるが、そうした物語は、クレチアンの他の作品と異なる極めて具体的な舞台設定と併せて、多くの研究者の関心を集め、しばしば同時代の国際政治がそこをこ投影されていたことを読み取ろうとする試みの対象になっている。とりわけ、十字軍運動を始めとして西欧諸国とビザンツ帝国との接触の頻度が増し、それに応じて相互の緊張関係も増大していった時期に、ビザンツの皇子を主人公として彼を極めて好意的に描き出した文学作品が、西欧(この場合は北フランス)で成立した背景を解明することがここでは重要な課題となった。考察の結果、主人公のクリジェスが好意的に描かれているのは、彼が西欧の価値観を受け入れ、西欧の優位性を認めている限りにおいてのことであったこと、そして真に主導権を握っていたのは西欧から輿入れしてきた皇妃の方であり、そこには道徳的に劣った東方を理性に優れる西方が指導し、正しい方向に導いてやるのだという西欧側のイデオロギーが色濃く反映されていたことが確認された。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2005

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] アーサー王宮廷のビザンツ騎士2005

    • 著者名/発表者名
      根津 由喜夫
    • 雑誌名

      金沢大学文学部論集 史学・考古学・地理学篇 25

      ページ: 1-38

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より

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公開日: 2006-07-12   更新日: 2016-04-21  

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