1.近世期のフランスの新聞・雑誌などの定期刊行物について、フランス現地の国立図書館、国立文書館、マザラン図書館、外務省文書館で史料収集と調査を行なった。とくに外務省文書館で当時の手稿史料の入手に努めた。国内では、京都大学、同志社大学などにおいて資料調査を行った。2.フランス最初の近代新聞である17世紀の『ガゼット』とその創刊者であるT・ルノドーについて、ルノドーの生地であるフランス・ポワトゥ州ルダンまで足を運び、ルノドー記念館などで史料、文献を入手するとともに、関係者から17世紀当時の状況について、説明を受けた。近年の研究動向の把握に努め、これを踏まえた研究論文の準備を行なった。3.また、1780年代の外務大臣ヴェルジェンヌの時代における、当時の新聞やジャーナリズムの状況について、前年度に引き続き、分析をすすめた。「ジュルナル・ポリティーク」をキー概念とする『メルキュール』誌と、同時期の『ガゼット』紙の記事の比較的な検討を、革命前夜にわたってさらに詳細に行い、「ジュルナル・ポリティーク」と「ガゼット」概念に基づくそれぞれの政治報道の内容や性格を吟味した。4.フランスのアンシャン・レジーム期の教育の問題について、研究調査と文献収集につとめ、「フランスにおけるアンシャン・レジーム期の教育」という論稿を執筆した。これは、17・18世紀のフランスのエリートおよび民衆教育の問題を近年の研究動向に留意しながら扱ったものであるが、2006年夏に佐久間弘展他編『近世ヨーロッパの教育社会史』(仮題)として、知泉書館から刊行の予定である。
|