1.国内調査 (1)長野県調査 丸子町鳥羽山洞穴出土コップ形土器・二重〓は、陶質土器の可能性が非常に高いことを確認する。千曲市城ノ内遺跡出土杷手付短頸壼は咸安地域のものであろうとの予測がついた。伝土口将軍塚古墳出土有蓋高杯は洛東江流域の陶質土器である可能性が高い。飯田市新屋敷遺跡出土両耳蓋は、従来指摘されているように百済系統であることを確認した。長野県には、これら以外にも若干の出土品と伝えられているものを確認した。 (2)山形県・千葉県調査 山形県高畠町源福寺古墳出土脚付短頸壺は、6世紀前半の固城タイプ系陶質土器であることを確認。出土したと伝えられる古墳も見学し、その近くに新羅神社があることを確認した。千葉県市川市下総国分寺跡から出土した短頸壺は、胎土が地元の土の可能性があるとされているが、洗練された形態と薄い作りから船載品と思われた。 (3)福井県調査 福井市当美濃峠古墳出土と伝えられる有蓋高杯は、6世紀前半の新羅系陶質土器で、慶州周辺の可能性がある。越前町織田出土と伝えられる有蓋高杯は、新羅系陶質土器であることを確認した。 2.韓国調査 高霊タイプ系陶質土器の調査を主に行った。嶺南埋蔵文化財研究院では、高霊池山洞古墳群出土の日本製須恵器〓を調査し、共伴する高霊タイプ陶質土器の内容を確認した。また、江原文化財研究所では、江原道出土の統一新羅系陶質土器を調査した。緑釉陶器台付椀や赤褐色軟質土器など、統一新羅系陶質土器に伴う焼成の異なるものの内容も確認した。 3.研究成果のまとめ 科学研究費補助金研究成果報告書を作成し、3年間にわたる研究を冊子体の報告書としてまとめた。
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