1 印旛沼沿岸遺跡の踏査 縄文時代の遺跡群の成り立ちを研究するために、千葉県の印旛沼沿岸の遺跡を踏査し、採集された土器の型式判定から、後期初頭から晩期中葉にわたる形成期間をもつことを再確認するとともに、採集された土器の型式学的な特徴を検討した。 2 曲輪内貝塚の地形測量と発掘 江原台遺跡(曲輪内貝塚)は印旛沼沿岸の縄文時代後期の遺跡の中で、遺跡全体が残されている稀有な遺跡である。しかもこの遺跡は表面観察から「環状盛土遺構」と呼ばれる当該期に特徴的な遺跡であることがわかった。そこで、遺跡の規模と構造を検討するための基礎的な分析として遺跡全面の地形測量を実施し、地形的な特徴と遺物採集をおこなった。さらにこれらの成果を受けて遺物に試掘を実施した。その結果、本遺跡は環状に盛り上がる部分を中心にして貝塚と遺物包含層が堆積した典型的な環状盛土遺構であることが確認された。 曲輪内貝塚は当該地域の集落の特徴的な構造をもつものであり、遺存状況が良好であることが確認できた。これらの成果を踏まえて次年度においては曲輪内貝塚の性格を解明するための調査研究を計画したいと考えている。
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