研究課題
平成15年度・・・矢野は縄文時代早期〜前期の遺跡6ヶ所(近畿地方中心)の土器胎土を調査し、特徴的胎土(角閃石を大量に含む胎土)の比率を算出した。千葉は縄文時代後期の遺跡1ヶ所の遺跡を調査し、特徴的胎土の比率を算出した。中村豊は九州地方、研究協力者の鈴木康二(滋賀県教育委員会)は岐阜県、矢野は岡山県の土器胎土についても調査し、特徴的胎土の及ぶ範囲を確認した。千葉、矢野は生駒産西麓の現地調査を行い、土器胎土との異同を確認した。清水は資料提供を受けた土器胎土の薄片資料を作成し、鉱物組成を分析した。この課題に関する研究会を2回開催した。平成16年度・・・矢野は縄文時代早期〜前期の遺跡5ヶ所の土器胎土を調査し、特徴的胎土の比率を算出した。千葉・矢野は縄文時代後期の遺跡1ヶ所の土器胎土を調査し、特徴的胎土の比率を算出した。研究協力者の田中元浩は大阪府・兵庫県の古墳時代初頭における特徴的胎土の広がりを調査し、数箇所で特徴的胎土の比率を算出した。次山・清水は資料提供を受けた土器胎土の薄片資料を作成し、鉱物組成を分析した。資料提供を受けた土器胎土の調査報告については、公表の準備を進めている。成果としては、縄文時代においては特徴的胎土の広がりは弥生時代に比べて数倍程度広い。これは単一の産地から得た混和材の流通によるものとは考えにくい。ただし、特徴的胎土の比率が100%の地域は生駒西麓に限られ、同地域の特徴的胎土を模倣した結果、各地でこの胎土が広がった可能性がある。縄文時代終末以後は、特徴的胎土の分布は生駒西麓を中心とした狭い範囲に限られる。
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館報 平成16年度(福井県立若狭歴史民俗資料館)