研究課題
基盤研究(C)
本研究テーマについて、3年間でまとめえた成果は以下のとおりである。埴輪製作技術に関する基礎資料の蓄積円筒埴輪の製作技術については、研究者間において認識や復元方法に隔たりが大きい。それは資料観察に関する経験の差や観察方法のちがいによるところも関係はしているが、製作技術を示す痕跡についての認識が一般化していないことが大きな要因と考えた。したがって、各地の円筒埴輪の製作技術を比較するために、まずそうした痕跡についての資料を蓄積し、かつ共有されやすいような形で提示してゆくことが必要と考えた。そのため各地で発掘された膨大な埴輪資料に対する調査・観察をすすめ、とくに製作技術の痕跡を写真によって記録することに留意した。それらの写真資料や観察をまとめ、製作技法に関するマニュアル書を発行した。埴輪の比較各地の埴輪資料を比較してゆく中で、とくに遠隔地同士の古墳からの出土品でありながら、形状や技法が酷似していることが注目されてきた、滋賀県山津照神社古墳出土埴輪と兵庫県西宮山古墳出土埴輪を、直接比較した。同工品論の材料など直接に製作者集臼の同一性を示す材料は得られていないが、後期の埴輪については、製品の移動や製作者集団の移動などの要素を考慮する必要性を認めた。製作者集団論の整理現在円筒埴輪の研究では、製作者集団の復元が大きなテーマとなっており、とくに同工品論の視点からの検討が進んでいる。そうした研究成果の手法や視点を整理し、提出された製作者集団モデルを比較した。
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考古学雑誌 89-1
ページ: 1-31
Haniwa-observing and restoring the making of Haniwa, the forum of Maizo-Bunkazai
ページ: 331-382