研究課題
17世紀の鎖国期の日本にオランダ連合東インド会社経由で輸入されたマジョリカ陶器の産地を探るため、大坂城跡出土のfoglie文アルバレルロ形壺持参でヨーロッパの実物との比較をし、研究者と意見交換しているが、日本に残るマジョリカ陶器に特徴的なfoglie文がヴェネツィア発祥で、イタリアからルネッサンス期にヨーロッパ各地へ広まったことがわかった。今回、ベルギーにおいて当地のマジョリカ陶器とfoglie文を検討し、アルバレルロの使用方法や流通状況などの情報を収集した。リヨンと並ぶマジョリカ陶器二大産地のひとつ、アントワープでは、陶工移住の文献も残っており、やはりfoglie文のマジョリカがイタリアから移住した陶工たちの製作か、その影響下で作られたものであることがわかった。また、イタリアではあまり見られなかった大坂城跡出土品に似た色調や焼成のマジョリカがアントワープで出土していることがわかった。しかし、日本で通有の縦方向のfoglie文は確認できず、またアルバレルロの形態も同じものがほとんどないなど、大坂城跡出土品の産地とは断定できなかった。大坂城跡出土品の胎土の成分比はイタリア・フィレンツェの製品に似るが、ヨーロッパではまだ胎土の分析例があまりないため、今回、イギリス大英博物館の陶磁器の胎土を分析し、研究されている方にお目にかかり、ヨーロッパ各地のマジョリカと大坂出土品との胎土分析お願いをし、快諾を得た。また、これまで訪問したマジョリカの産地や消費地の研究機関に胎土分析用の破片の提供をお願いしていて、いくつかは快諾を得た。今年度も含めた研究成果を、大阪ビジネスマンクラブ(大阪市パリ事務所、12月)、世界考古学会議(大阪歴史博物館、1月)等で発表した。また、研究の概要を3月24日付の毎日新聞に掲載した。今後、ニフティサーブの新聞記事検索などで表示されることになっている。
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ボンヴィヴァン大阪2005
ページ: 1-8
World Archaeological Congress Inter-Congress : Osaka, 2006
ページ: 48