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2006 年度 実績報告書

江戸時代鎖国前後の日本と海外諸国との交易についての考古学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 15520488
研究機関(財)大阪市文化財協会

研究代表者

松本 啓子  (財)大阪市文化財協会, 文化財研究部, 主任学芸員 (20344377)

キーワード近世史 / 考古学 / マジョリカ陶器 / 鎖国 / オランダ連合東インド会社 / 国際情報交換 / foglie文アルバレルロ形壺 / イタリア:フランス:ベルギー:オランダ
研究概要

今年度は補足調査として、オランダに大坂出土品持参で赴き、最近調査された窯跡出土のマジョリカ陶器を含め、オランダの出土資料・伝世資料との比較検討を行った。
結果、大坂出土のマジョリカ陶器foglie文アルバレルロ形壺の産地特定には至らなかったものの、foglie文アルバレルロ発祥地であるイタリアの陶工の影響が、フランドル地方を含む16・17世紀のオランダに及んでいて、装飾文様の変遷は、foglie文も含め、イタリア・マジョリカ陶器の変化がそのまま時期差なくオランダのマジョリカ陶器製作に反映され、流通していたことがわかった。これは陶工の移動・移住が大きく関与したものとみられる。今回の調査ではFoglie文の製作地は見つからず、フランドル地方のアントワープとフランスのリヨンでの製作の可能性がさらに高くなった。
胎土の調整は、陶工の出自による差が出る可能性が極めて高く、マジョリカ陶器の胎土成分の、同一手法・条件による分析が、製作地を推定する非常に有効な手段であることが再確認された。この点についてオランダの研究者と意見が一致し、条件が揃った時点での分析用資料提供の快諾を得た。
オランダ建国は16世紀のスペインからの独立戦争とヨーロッパ全土を巻き込んだ宗教改革のさなかで、プロテスタント主導で成し遂げられた。このため、16・17世紀のカトリック教会との抗争は激しく、絵画資料などでその状況を確認することができた。
もともとマジョリカ・アルバレルロは、イタリアの薬草保存の壺で、各窯から特定のカトリック教会付属の病院や薬局に供給された。この状況はそのまま欧州各地に広まった。アントワープはオランダ独立戦争後もスペイン領で、カトリック主導の地域であった。従って、プロテスタント主導のオランダ東インド会社がfoglie文アルバレルロをどこでどのように入手し得たのかが、今後の検討課題である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2006

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] 仏文版 : 'Les Echanges comerciaux entre Osaka et I'Europe pendant la Periode d'isolationnism, a travers la Faience majolique : Une albarello decouverte a Osaka'(日文版 : 「大阪出土のマジョルカ陶器アルバレルロを通してみた鎖国時代の大阪とヨーロッパの交易」として2006年3月既刊)2006

    • 著者名/発表者名
      Keiko Matsumoto
    • 雑誌名

      Newsletter de l'Osaka Businessman Club "Bon Vivant Osaka 2005" (大阪市バリ事務所『ボン・ヴィヴァン・大阪 2005』) 2005年号

      ページ: 2-8

URL: 

公開日: 2008-05-08   更新日: 2016-04-21  

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