アジア地域のタタキ技法の検討をとおして、日本列島における弥生土器のタタキ技法の波及経路を特定しようとする試みである。 本年度は、日本列島内で土器の観察・研究者との意見交換、さらに中華人民共和国で土器の観察・研究者との意見交換を行なった。このうち後者については2004年8月に中華人民共和国山東省章丘市において中国社会科学院考古研究所、山東省考古研究所等が主催した漢代考古与漢代文化国際学術研討会に参加し、日本列島弥生文化と朝鮮半島松菊里式文化における土器のタタキ技法に関する成果発表を行なった。すなわち工具、製作工程、身体技法の3視点から、それぞれの土器を詳細に観察し、弥生土器と松菊里式土器のタタキ技法が、様々な点で共通していること、そして2〜3点の差異がありこのあり方から松菊里式土器のタタキ技法が弥生土器のタタキ技法が技法的に先行する要素を持っていることを発表し、中国地域のタタキ技法のあり方の究明こそが、文化交流の実態を究明する上で必要不可欠であることを、発表した。 それともに山東省青島市、〓南市で文化財管理局のご厚意で、土器を観察した。これらによってあらためて韓半島の松菊里式土器のタタキ技法こそが、日本列島に波及して弥生土器のタタキ技法を生んだとする推論の正しさを確認した。
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