本年度は、全国に伝播・展開する「よさこい祭り」調査の初年度として、高知市、札幌市、神奈川県小田原市、東京都、埼玉県朝霞市、千葉県各地で調査を行い、観察(参与観察を含む)、聞き取りおよび資料を入手した。広域のネットワークをマクロ、ミクロ両面から把握するよう努めた。特に、千葉県内では、あるチームの踊り子として、県内各地の祭りに参加し、地域と祭り、各チームの関連を考察した。また、所属チームの運営を通じ、広域のネットワークの理解に努めた。 また、本研究課題の成果として、3冊の研究書を出版した(うち1冊は印刷中)。『暮らしの中の民俗学第2巻一年』(共著、吉川弘文館)では、全国に伝播・展開する「よさこい祭り」の全体を把握し、そのメカニズムを考察した。さらに、同様に全国に伝播・展開する「ねぶた祭り」との比較を行った。また、「よさこい祭り」に関する研究書の嚆矢となる『よさこい・YOSAKOI学』リーディングス(編著、開成出版)を公刊した。この本では、関心を同じくする研究者と共に「よさこい祭り」を様々な視点で分析し、初めて関連文献目録を作成した。『空間の社会地理(シリーズ人文地理学5)』(共著、朝倉書店、印刷中)では、「よさこい祭り」伝播の研究が、地域社会の新しい把握や、現代的かつ地理的な文化現象であることを主張した。
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