全国各地で急増する「よさこい祭り」の文化地理学的研究に関して、本年度当初、(1)全国レベルでの開催状況の把握、(2)地域を限定したミクロな実態調査、(3)参加団体、主催者への参与観察、(4)地域間ネットワークの実態把握、という4点の課題設定をした。本年度は主として、千葉県内のMという団体に踊り子として参加し、参加者・主催者の立場から、上記4点の達成を試みた。資料調査や観察に止まらず、内部資料・情報を得ることができ、祭りの社会的・文化的メカニズムを知ることができた。(1)「増殖」と呼ぶに相応しい「よさこい」の全国的展開を全て追うことは不可能だったが、関東地方、特に千葉県に関して詳細な把握ができた。(2)過去十数年、継続調査をする元祖「高知よさこい祭り」はもちろん、関東南部の主な「よさこい」に関するミクロなデータを入手した。(3)踊り子や団体の実態把握だけでなく、団体の全国遠征に参加することで、この祭りが成立するメカニズムをマクロ・ミクロ両面から把握できた。(4)千葉県内の「よさこい」ネットワークをデータ面から詳細に把握できた。その一方、外部者では得られないミクロなデータを入手したものの、十分な整理ができていない。今後は、調査の継続だけでなく、調査成果の総まとめを行う。なお、研究成果は、複数の学会報告および学術論文として発表した。
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