研究概要 |
平成15年度においては,日本・世界の大規模水利事業の動向分析ならびに兵庫県東播地域の事例研究を実施した。 日本・世界の大規模水利事業の動向分析については,日本大ダム会議と農林水産省での資料収集ならびに聞き取り調査をおこなった。日本大ダム会議によって,ICOLD(International Council of Large Dam)発行の『World Register of Dams』は2003年6月に更新される予定であったが,編集作業が遅れていることが判明した。そこで,本研究では同会議より提供を受けた1998年版のデータをもとに分析することにした。同資料より,インドのダムデータ4010件ならびに国別ダムデータをコンピュータに入力し,これにFAOの国別統計を統合して,データベースを構築した。農林水産省では,最新の『ため池台帳』(1997年3月31日時点)を入手した。『ため池台帳』における各ため池の位置データを利用し,GISソフトを用いて,同台帳のGIS化をおこなった。さらにそのデータと農業集落カードの統計データの結合を図った。 兵庫県東播地域の事例研究については,兵庫県,土地改良区での資料と聞き取り調査を行い,基礎データを収集するとともに,平成16年度における本調査の準備を兼ねたプレ・サーヴェイをおこなった。 研究成果の発表については,11月に中国水利史研究会大会において。「独立後におけるインド水利の展開」と題する研究報告をおこなった。同じく11月に東播地域におけるため池の巡検講師として上記のため池のGISデータベースを用いて説明をおこなった。また2月には,研究対象地域内の天満土地改良区において,同地区の水利にかかわる講演をおこなった。さらに先行研究の一環として,内田和子著「日本のため池」の書評を発表した。
|