研究概要 |
産業地域の革新は、現代産業革命期では産業を構成する企業の革新に加え、地域の総体をなす地球の革新とも関連する(拙論『平和の海廊と地球の再生』1997、大明堂)。また、風土文化の深化も、企業、産業、地域に、基層をなす地球の風土文化とのキ環関係に留意して掌握することが、不可欠となってきた(Globalization and Localization of the Orbit in Geography Geo-Journal 45 1998)。 まず、この動態的研究に最も適した「伝統工芸の革新と風土文化の深化」(比較社会文化 10、2004)を論及し、伝統と革新、工芸と文化、風土と深化の関連を地場に固着した陶磁器と産業揺藍の母体をなした繊維を対象に論及し、産業地域の革新と風土文化の深化における場所の意義と主体の作用を存続、復興の両面から検証した。 次いで、伝統工芸と対峙する科学・技術に留意し、産業地域と風土文化の媒体をなす大学を対象に場所の意義と主体の作用を現代産業革命開闢の4半世紀と地球・地域の体系と関連付けて論及した(Locus ; Regional Renaissance and Civilization Science Report 52,2004)。Locus,場所に作動する流動の範囲、Orbitと流動を制御する主体の力量、Iconographyの関連、作動の機構を究明した。 ワールドメガロポリスの自律が顕著となった現代で、そのイコンをなす国際連合大學とそのオービット内で再編制され、4類型化される国立大学法人の分析を通し、革新・深化に深く係る接遇環境の意義と次元の転換、場所の変換を惹起する空間的、構造的フロンティアの意味を考え、中心と縁辺、中核と辺境の関係を北海道の道東と沖縄の先島を事例に掌握し、両者の動態的関連を捉えた(Expansion of Frontier and City of Freedom, Ekistics 2004). 今後は、両者の関係を国内外の事例産業地域の実態調査を更に深め、対象地域、産業を絞りつつ、風土文化の深化を考察したい。
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