研究課題/領域番号 |
15520504
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
杉浦 芳夫 東京都立大学, 理学研究科, 教授 (00117714)
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研究分担者 |
原山 道子 東京都立大学, 理学研究科, 助手 (00117722)
石崎 研二 奈良女子大学, 文学部, 助教授 (10281239)
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キーワード | 中心地理論 / Christaller / ナチ・ドイツ / 国土計画 / 混合中心地システム / 地理学史 |
研究概要 |
今年度もドイツ語文献の精読を中心として、ナチ・ドイツにおける中心地理論の受容過程について検討した。1933年のテクストの書評は、従来の地理学史の中で語られてきたのとは異なり、必ずしも否定的なものではなく、例えば、当時のドイツの代表的な都市地理学者のDorriesの書評は中心地理論の応用可能性を大いに評価するものであった。自給自足的な戦時経済を視野に入れつつあった1935年頃のナチ・ドイツの国土計画論では、効率的な原料・食糧の調達・供給の点で、国土全域を階層的に編成することが至上命令であり、中心地理論はまさにこの課題に答えるものであった。また、Christallerが座長を務めたナチ・ドイツの中心地研究グループに属していたFederの「新都市」プランにみられる都市内商業中心の階層構成は、中心地理論のアイデアに依拠している可能性があった。そして、中心地研究グループを主宰する直前の頃までのChristallerは、中心地に加え、農業開拓集落、工業集落をも構成要素とする集落システムを構想していた。中心地理論は、当時の他の学問分野において提唱された集落配置プランに広汎な影響を与えたことが推察されるが、関連文献において引用が明示されることが少なかったため、引用分析からはこの点を十分明らかにしえなかった。なお、混合中心地立地・配分モデルを用いた理論の検証には、理論上の中心地分布と現実の中心地分布との対応関係を精確に計測することが肝要なため、そのための測度の開発も行なった。
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